1 妊孕性温存のナビゲーション
妊孕性温存のステップにおいて看護師はどのようなナビゲーションを行えばよいのか、所属施設の状況に応じた連携や、施設間連携が整備されていなくても可能な支援を考えられるようにナビゲーションを識別したのが図11 です16)。
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図11 がん患者に対するオンコロジーナースによる妊孕性温存のナビゲーション
(文献16)より引用)
1)ナビゲートのポイント
(1)妊孕性温存を実施している施設を探す自施設に生殖医療の専門家および担当科がいるかどうかを予め確認し、無ければ、自施設の周辺や利便性の高い施設を探しておくと良いです。また、自施設にがん専門相談員がいれば連携をとり、情報共有を行うことをお勧めします。・日本がん・生殖医療学会のホームページ
(http://www.j-sfp.org/ovarian/index.html#hokkai_hospital)に、がん患者の治療開始前の妊孕性対策を実施している全国の施設が紹介されているので参照してください。
(2)妊孕性温存のナビゲートの基準について勝手に判断しない
患者の年齢や家族関係などの背景によってナビゲートの可否を医療者が判断するべきではありません。将来の妊孕性や妊孕性温存については,患者の希望や意向、価値観など確かめてみなければわからないからです。がんの診断・告知による衝撃で、自身の妊孕性について深く考える余裕がなく妊孕性温存をあきらめてしまうケースもあります。生殖機能の喪失の可能性について説明し、患者の理解を確かめ、妊娠の希望の有無について考えを聞き、話し合う慎重な対応が必要です。また、これまでの人生で妊娠・出産に重きを置かずに過ごしてきたが、妊孕性喪失の可能性に衝撃を受けて、その可能性を残したいと強く願い、温存すること自体が治療を含む今後の人生を支える希望となるかもしれません。もちろん、患者が希望したとしても患者の病状やがん治療開始時期などにより、予断を許さない場合もあり、がん治療を優先せざるをえないこともあります。いずれも患者の希望や意向を確認したうえで、納得が得られるまで十分に話し合うことが大切です。