top Ⅲ 妊孕性温存の方法

ここでは不妊治療で開発された凍結技術を用いた妊孕性温存方法について説明します。

1 妊孕性温存療法の適用基準

がん医療の進歩によりがん患者の生存率が向上し、治療後のQOL維持、向上支援が高まりました。その結果、ニュースや新聞においても妊孕性温存の話題が上がり、一般の人も妊孕性温存について触れる機会が増えています。
妊孕性温存に関する相談は、症例によってはがん治療開始前から妊孕性温存に関する十分な対策をとる必要があります。
 
日本がん治療学会の妊孕性温存に関する診療ガイドライン(2017)における乳がんの妊孕性温存療法の適用基準2)は、
 
1.標準治療を行い長期予後が期待できるStage0~Ⅲ(考慮される)(推奨グレードC1)
2.遠隔転移を伴うStageⅣもしくは再発乳がん(適応とならない)(推奨グレードD)
推奨グレードC1:科学的根拠は明確ではないが、行うよう勧められる。
推奨グレードD:無効性あるいは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる。
 
妊孕性温存療法の適用を考慮する場合、不妊症に陥るリスクの評価に基づいてがん治療をうける患者(および家族)とよく話し合い、意思決定支援をすることが前提となります。
このようにがん患者は妊孕性温存に関して医療者に相談できるものの、温存療法の適用には基準が設けられています。