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Ⅱ がん治療における性腺機能への影響

2 卵巣機能/卵巣予備能の評価方法

卵巣機能の測定には、月経3日目にホルモン値を測定する方法と、同じく月経3日目頃に経腟エコーで初期の発育卵胞の数や卵巣の体積を測定する方法があります。代表的なホルモンには卵巣刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)、エストロゲン(E2)があげられます。
卵巣予備能とは、古典的には卵巣内に残存する卵子の数と質を指し、卵巣の潜在的な生殖能力を意味します12)。
 
現在、卵巣予備能の推定に用いられているのがAMH(抗ミュラー管ホルモン)です。原始卵胞の中にある顆粒膜細胞が成長することで、成熟卵胞になります。(図3)。

図3 卵胞のサイクル(文献14)を参考に作成)

2 卵巣機能/卵巣予備能の評価方法01 その顆粒膜細胞から分泌されるホルモンがAMHで、残存卵子数を反映すると言われています。
AMHは月経周期に関係なく血液検査で測定できます。
AMHを測定することで、現在の卵巣の状態を推測することが可能となるため、予定されたがん治療を考慮した上で、妊孕性温存をするか否かの参考となり、またがん治療後に測定することで生殖補助医療を実施する際の治療戦略を立てやすくなるという利点があります。
現時点では、AMH値および胞状卵胞数のカウントが治療前後の卵巣予備能として有用ですが、それのみで完璧といえる方法ではありません12)。