事例 1
事例を通して
Aさんは,がん治療が終えた後も,がんと共生する人生をたどる.その過程において,身体面の変化だけでなく,就労についての課題,パートナー,家族,周囲の他者との関係性の変化,がんの再発や余命への不安が生じることもあると考えられます.がんに携わる看護師は,がんの診断から初期治療の時期に,患者と対話し,女性がん患者のライフプランにどのような課題が生じているか確認し患者のよき理解者の一人となる必要があります.
患者自身が一つ一つの課題を乗り越えその後の生活の再構築のため,どのような継続的な支援が必要か,部署でのディスカッションを行うことも有効と考えます.未受精卵子凍結を行った後,Aさんの病気の状況や異性とのパートナーシップなど,様々な理由により子どもをもつことが難しくなるかもしれません.妊孕性に関する支援は,がんの初期治療の時期だけではありません.Aさんのこれからの人生での様々な時期において,「子どもをもつ」「子どもをもたない」悩みに耳を傾け,その選択を支援することも重要です.長期的にがんサバイバーがその人らしい生活を営むことができるよう,組織的に継続した支援システムを構築することも必要だと考えます.
日本がん・生殖医療学会は,「乳がん患者の妊娠出産と生殖医療に関する診療の手引き19)」を発刊しています.がんに携わる看護師は,このような指針を参考に,自身が所属する医療機関や地域の医療圏におけるがん治療,生殖医療の専門医の状況を確認することが大切です.がん患者に関わる診療科間の円滑な情報共有,安全で質の高いサポートを提供するための協力体制を作るためには,個々の医療者の意識だけでなく,組織での取り組みに働きかけることも必要です.情報提供を積極的に図るため,乳がん治療に関するパンフレットの中に妊孕性温存の相談に対応する窓口を掲載するなど,治療を受ける女性が相談するきっかけづくりの工夫を行っている医療機関もあります.がん治療と生殖医療を専門とする診療科間での円滑な連携をめざして,がん患者が受ける妊孕性温存療法のスケジュールや方法に関する知識を深め,診療科間,患者・家族と診療科間の調整役としての意識を高めることが必要と考えます.
(がん看護専門看護師)
患者自身が一つ一つの課題を乗り越えその後の生活の再構築のため,どのような継続的な支援が必要か,部署でのディスカッションを行うことも有効と考えます.未受精卵子凍結を行った後,Aさんの病気の状況や異性とのパートナーシップなど,様々な理由により子どもをもつことが難しくなるかもしれません.妊孕性に関する支援は,がんの初期治療の時期だけではありません.Aさんのこれからの人生での様々な時期において,「子どもをもつ」「子どもをもたない」悩みに耳を傾け,その選択を支援することも重要です.長期的にがんサバイバーがその人らしい生活を営むことができるよう,組織的に継続した支援システムを構築することも必要だと考えます.
日本がん・生殖医療学会は,「乳がん患者の妊娠出産と生殖医療に関する診療の手引き19)」を発刊しています.がんに携わる看護師は,このような指針を参考に,自身が所属する医療機関や地域の医療圏におけるがん治療,生殖医療の専門医の状況を確認することが大切です.がん患者に関わる診療科間の円滑な情報共有,安全で質の高いサポートを提供するための協力体制を作るためには,個々の医療者の意識だけでなく,組織での取り組みに働きかけることも必要です.情報提供を積極的に図るため,乳がん治療に関するパンフレットの中に妊孕性温存の相談に対応する窓口を掲載するなど,治療を受ける女性が相談するきっかけづくりの工夫を行っている医療機関もあります.がん治療と生殖医療を専門とする診療科間での円滑な連携をめざして,がん患者が受ける妊孕性温存療法のスケジュールや方法に関する知識を深め,診療科間,患者・家族と診療科間の調整役としての意識を高めることが必要と考えます.
(がん看護専門看護師)